えみりんと楽しい人生散歩
by EmilynM
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寒いけど温かい国、ニュージーランド
あっという間に、5月の連休(高山、飛騨古川、白川郷、温泉!)も終わり、早、6月半ばとなりました。ご無沙汰して、すみません。
これまでもいろいろな国を旅しましたが、もうひとつ大好きな国を見つけました。
それはニュージーランドです。ニュージーランドと言えば、なんと言っても大自然の美しさ!そして、今回の旅で意外だったのは、イギリス、特にスコットランドの面影が色濃く残っているということです。北島のオークランドは大都市ですので様相を異にしますが、今回参加した会議が開かれた南島のダニーデン(Dunedin)は、スコットランドからの移住者によって築かれた町で、ビクトリア調の美しい建物が随所に残っています。
この町の見所は、ダニーデン駅(Dunedin Railway Station)。1904年から1906年にかけて建てられたそうですが、石造りの重厚な外観と内部のモザイクやステンドグラスが見事なハーモニーを生み出し、思わず見とれてしまうほどの美しさです。
もうひとつのお奨めはこれと同じような建築様式で建てられているオタゴ大学(Otago University)の建物のひとつです。学会での発表を無事終えたたそがれ時に川沿いに佇むこの建物の前を落ち葉を踏みしめて歩いていたら、何だかイギリスの大学のキャンパスにいるような錯覚を覚えました。そういえば、イギリスにはもう30年も行っていないのです・・。イギリスにはフランスの大学に留学していたころに数回行っただけですが、不思議に懐かしいという思いがこみ上げてきて、来年は絶対行きたいなあ、と心に誓いました。
建物の奥ゆかしさと共に感動したのが、人の心の温かさです。
公共機関があまりないので、街中の移動は徒歩とタクシーになりましたので、短期間の滞在に何回もタクシーに乗りました。なんと別のところから無線で呼んでくれたにもかかわらず、同じ運転手さんに3回もお世話になったのです。ラッセルという名の初老の運転手さんで、また会えた!ととても喜んでくれました。そして、もうひとり、ロッキーという名の運転手さんとも仲良しになりました。電車の出発まで小1時間あったので、観光タクシーのような感じで案内してもらいました。世界で一番勾配が急な坂道(World's Steepest Street: Baldwin Street)やSignal Hillと呼ばれる丘の上に案内してもらいました。そこからは、町の郊外からオタゴ半島、そして大海原の展望が見事でした。ダニーデン駅で降ろしてもらいましたが、荷物があったので、58ドルのところを60ドル渡そうかと思って100ドル紙幣を出したところ、
「今日は久しぶりに楽しい時間をすごせたから、50ドルでいい」と言って、50ドルもおつりをくれてしまいました。ひとなつっこい笑顔が今でも忘れられません。
このように、行く先々でニュージーランドの人たちは温かく迎えてくれました。
ただひとつびっくりしたことは、人は温かいのですが、部屋は寒いことです。アメリカの室温の高さに慣れてしまっているからでしょうか。欧米では外は寒くても室内は暖かいと思い込んでいましたが、ニュージーランドは、大学の教室はもちろんのこと、ホテルの室内も寒く、到着するとすぐにヒーターをつけて暖めなくてはなりませんでした。
ちょっと長くなりましたが、あともうひとつ、ご紹介したいことがあります。
それはこのダニーデンからクィーンズタウン(Queenstown)への電車とバスの旅です。12:30発のタイエリ渓谷鉄道(TGR: Taieri Gorge Railway)に乗って、2時間以上の旅ですが、ダニーデン郊外を抜けると牧場地帯が延々と続き、出会うは牛さんと羊さんばかり。羊は電車の近くでも平然と草を食べているので、ゆっくり走る電車からとてもよく見えました。とある羊さんが顔をあげて、じっと私を見ているではありませんか。なにやら話しかけたそうな顔つきです。
"May(めえ~) I speak to you?"
列車はさらに森林地帯を抜けて渓谷の断崖にかかる橋梁を通過するのが何ともスリリング!デッキにでて風を肌に感じて大自然を堪能する醍醐味を久々に味わいました。
この電車の終点はプケランギ駅。駅と言っても、小さな小屋がぽつんと立っているだけの場所ですが、そこで今度はバスに乗り換えます。点呼を取るでもなし、アナウンスがあるでもなし、皆、ぞろそろと来たバスに乗るとすぐにバスは出発しました。
ここはまさに in the middle of nowhere...もし何か用でも足していてこのバスに乗り遅れたら次の列車が到着するまで、一昼夜ここに取り残されることは間違いありません。
日本のように「お忘れのもののないように」やら、「ダイヤが乱れており、ただいま5分遅れで運転しております。誠に申し訳ありません」などのアナウンスは一切なし。この鉄道では到着時間もアバウトですから、謝る必要もないのです。乗客は皆、自己責任で行動、文句を言う人もいません。
壮大な自然の中にいれば、自分の存在はとても小さく感じられ、不満や文句など言う気にもなれないのかもしれませんね。
そこからバスに乗って、さらに2時間以上、夕闇せまる大平原をひたすら、町の光を求めて移動しました。この付近は大ヒットした映画「ロード・オブ・ザ・リング」のロケ地だそうです。そういえば、大平原に平面的な大きな岩が広がっている地形、ごつごつとした険しい山並み・・・思い出しました。あのシーンだったのですね。
日もとっぷり暮れたころ、やっと目指すクィーンズタウンにつきました。
翌朝、ゴンドラで標高790mのボブズヒル(Bob's Hill)に登ると、眼下には巨大なワカティプ湖と遠くにはセシルピークなどの壮大な山々。圧倒的な景観が、深く脳裏にそして、心に刻まれました。
今回の旅は学会発表もあり、駆け足ではありましたが、おかげさまで、心はとてもゆったりして、幸せに満ちていました。
大自然に抱かれて命の洗濯になりました。
ひとつ強く、思ったことがあります。
東京は夏でも、こちらは冬。日本では北が寒いけど、こちらでは南が寒い。
ものごとが場所によって人によって違う。考え方も違う。
だから、こうあるべきだ、こうでなくてはだめ、ということはないんだな。
でも「人の温かさ」「心の美しさ」これは変わらないのだな。
ということでした。
だから私も自分の信念はしっかり持ちつつも、それ以外のことはかなり幅を持たせて生きていきこう。そしたらもっとゆったり生きることができるだろう。
そして、ある人が言っていたように、Happiness is not a destination but a road.幸せは目的地でなく道程である、・・だから、毎日の今の瞬間の幸せをかみ締めていこう!
すばらしいニュージーランドの旅をありがとう!
皆さんも行かれるチャンスがありますように。そして沢山の素敵な出会いがありますように。
これまでもいろいろな国を旅しましたが、もうひとつ大好きな国を見つけました。
それはニュージーランドです。ニュージーランドと言えば、なんと言っても大自然の美しさ!そして、今回の旅で意外だったのは、イギリス、特にスコットランドの面影が色濃く残っているということです。北島のオークランドは大都市ですので様相を異にしますが、今回参加した会議が開かれた南島のダニーデン(Dunedin)は、スコットランドからの移住者によって築かれた町で、ビクトリア調の美しい建物が随所に残っています。
この町の見所は、ダニーデン駅(Dunedin Railway Station)。1904年から1906年にかけて建てられたそうですが、石造りの重厚な外観と内部のモザイクやステンドグラスが見事なハーモニーを生み出し、思わず見とれてしまうほどの美しさです。
もうひとつのお奨めはこれと同じような建築様式で建てられているオタゴ大学(Otago University)の建物のひとつです。学会での発表を無事終えたたそがれ時に川沿いに佇むこの建物の前を落ち葉を踏みしめて歩いていたら、何だかイギリスの大学のキャンパスにいるような錯覚を覚えました。そういえば、イギリスにはもう30年も行っていないのです・・。イギリスにはフランスの大学に留学していたころに数回行っただけですが、不思議に懐かしいという思いがこみ上げてきて、来年は絶対行きたいなあ、と心に誓いました。
建物の奥ゆかしさと共に感動したのが、人の心の温かさです。
公共機関があまりないので、街中の移動は徒歩とタクシーになりましたので、短期間の滞在に何回もタクシーに乗りました。なんと別のところから無線で呼んでくれたにもかかわらず、同じ運転手さんに3回もお世話になったのです。ラッセルという名の初老の運転手さんで、また会えた!ととても喜んでくれました。そして、もうひとり、ロッキーという名の運転手さんとも仲良しになりました。電車の出発まで小1時間あったので、観光タクシーのような感じで案内してもらいました。世界で一番勾配が急な坂道(World's Steepest Street: Baldwin Street)やSignal Hillと呼ばれる丘の上に案内してもらいました。そこからは、町の郊外からオタゴ半島、そして大海原の展望が見事でした。ダニーデン駅で降ろしてもらいましたが、荷物があったので、58ドルのところを60ドル渡そうかと思って100ドル紙幣を出したところ、
「今日は久しぶりに楽しい時間をすごせたから、50ドルでいい」と言って、50ドルもおつりをくれてしまいました。ひとなつっこい笑顔が今でも忘れられません。
このように、行く先々でニュージーランドの人たちは温かく迎えてくれました。
ただひとつびっくりしたことは、人は温かいのですが、部屋は寒いことです。アメリカの室温の高さに慣れてしまっているからでしょうか。欧米では外は寒くても室内は暖かいと思い込んでいましたが、ニュージーランドは、大学の教室はもちろんのこと、ホテルの室内も寒く、到着するとすぐにヒーターをつけて暖めなくてはなりませんでした。
ちょっと長くなりましたが、あともうひとつ、ご紹介したいことがあります。
それはこのダニーデンからクィーンズタウン(Queenstown)への電車とバスの旅です。12:30発のタイエリ渓谷鉄道(TGR: Taieri Gorge Railway)に乗って、2時間以上の旅ですが、ダニーデン郊外を抜けると牧場地帯が延々と続き、出会うは牛さんと羊さんばかり。羊は電車の近くでも平然と草を食べているので、ゆっくり走る電車からとてもよく見えました。とある羊さんが顔をあげて、じっと私を見ているではありませんか。なにやら話しかけたそうな顔つきです。
"May(めえ~) I speak to you?"
列車はさらに森林地帯を抜けて渓谷の断崖にかかる橋梁を通過するのが何ともスリリング!デッキにでて風を肌に感じて大自然を堪能する醍醐味を久々に味わいました。
この電車の終点はプケランギ駅。駅と言っても、小さな小屋がぽつんと立っているだけの場所ですが、そこで今度はバスに乗り換えます。点呼を取るでもなし、アナウンスがあるでもなし、皆、ぞろそろと来たバスに乗るとすぐにバスは出発しました。
ここはまさに in the middle of nowhere...もし何か用でも足していてこのバスに乗り遅れたら次の列車が到着するまで、一昼夜ここに取り残されることは間違いありません。
日本のように「お忘れのもののないように」やら、「ダイヤが乱れており、ただいま5分遅れで運転しております。誠に申し訳ありません」などのアナウンスは一切なし。この鉄道では到着時間もアバウトですから、謝る必要もないのです。乗客は皆、自己責任で行動、文句を言う人もいません。
壮大な自然の中にいれば、自分の存在はとても小さく感じられ、不満や文句など言う気にもなれないのかもしれませんね。
そこからバスに乗って、さらに2時間以上、夕闇せまる大平原をひたすら、町の光を求めて移動しました。この付近は大ヒットした映画「ロード・オブ・ザ・リング」のロケ地だそうです。そういえば、大平原に平面的な大きな岩が広がっている地形、ごつごつとした険しい山並み・・・思い出しました。あのシーンだったのですね。
日もとっぷり暮れたころ、やっと目指すクィーンズタウンにつきました。
翌朝、ゴンドラで標高790mのボブズヒル(Bob's Hill)に登ると、眼下には巨大なワカティプ湖と遠くにはセシルピークなどの壮大な山々。圧倒的な景観が、深く脳裏にそして、心に刻まれました。
今回の旅は学会発表もあり、駆け足ではありましたが、おかげさまで、心はとてもゆったりして、幸せに満ちていました。
大自然に抱かれて命の洗濯になりました。
ひとつ強く、思ったことがあります。
東京は夏でも、こちらは冬。日本では北が寒いけど、こちらでは南が寒い。
ものごとが場所によって人によって違う。考え方も違う。
だから、こうあるべきだ、こうでなくてはだめ、ということはないんだな。
でも「人の温かさ」「心の美しさ」これは変わらないのだな。
ということでした。
だから私も自分の信念はしっかり持ちつつも、それ以外のことはかなり幅を持たせて生きていきこう。そしたらもっとゆったり生きることができるだろう。
そして、ある人が言っていたように、Happiness is not a destination but a road.幸せは目的地でなく道程である、・・だから、毎日の今の瞬間の幸せをかみ締めていこう!
すばらしいニュージーランドの旅をありがとう!
皆さんも行かれるチャンスがありますように。そして沢山の素敵な出会いがありますように。
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| 2007-06-13 10:39
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